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蓄音機本体レストア事例 【THE LION】

レストア : THE LION(詳細不明)

たいへん申し訳ありませんが、お客様からの蓄音機修理依頼には対応しておりません

※この修理事例の内容は、弊社管理の蓄音機修理内容を開示しています

※皆様がお持の蓄音機を修理する場合、参考になればという事で掲示しております

 ご了承ください

THE LION というブランドの蓄音機です。

ネットでも情報が少なく何時どこで作られたか。

型式も不明ですが、福井在住の方が京都の実家で見つけて

『どこかで有効活用して頂ければ嬉しいです』という事で

お届けいただきレストアしました。

・外装埃とカビ

・ターンテーブルゼンマイ巻いても回転しない

・アーム部の可動部動きが悪い

という事でレストアです。

 

 

まずは本体のバラシです。

内部に木で作られていますラッパが見えています。

かなりの永きに渡って蔵に眠っていたのでしょうか、カビと埃、汚れがすごいので、固く絞った濡れタオルで埃を除去します。

この作業で気をつけないといけないのは、水分が木部に浸透しない様固く絞ったタオル等で汚れを落としたら、乾いたタオルですぐに水分を拭き取ります。

つづいて金属部分は錆を落とすのに真鍮のワイヤーブラシを使用します。

これも力加減を調整しながらやらないと、メッキをはがしてしまうので要注意です。

錆が落ちたら、表面を50μのコンパウンドで磨きます。

その後光沢が戻ってきましたら、車のガラス系コーティング剤を塗布して乾いたら拭き取ります。

外した金属部分(ねじも含む)の錆も同じようにワイヤーブラシで落とします。

錆びていない部分は50μか2μのコンパウンドで磨きますと光沢がよみがえります。

メカ部は幸いにして古いグリスの固着は見られませんが、代わりに油切れです。

低速回転ギア部にはシリコンスプレーグリスを。

高速回転軸部には、マシン油を塗布して復活です。

回転調整につきましてはデジタル回転計を駆使して、回転制御バーを変形させて合わせていきます。

サウンドボックスも特に異常ありませんでしたので、金属部分を2μのコンパウンドで磨き上げです。

外装の木部は、#600のサンドペーパーで軽く荒して表面に植物性の荏ごま油を塗布して光沢が戻りました。

前面の観音開きの扉のロック機構も錆でうまく閉まらなかったので、ストッパーボールに注油してスムーズな閉扉ロックしてくれるようになりました。

元々光るところは磨いて光らせますと何十年もの時を経て輝きがよみがえります。

音を拾うサウンドボックスの振動板は、金属のドーム型振動板ではなく平面マイカ板(透明の石英)なので、機械式録音のレコードはそれなりに鳴ってくれますが、電気式吹込みのSPレコードでは大きな振幅を受け止められず若干音が歪みます。

これで作業完了です。

 

TEXT:M_Ichihashi